フィトライフのガーデンデザイナーが考える「庭つくりのミニ知識」〜 樹木の種類と選び方 Vol.2 〜
樹木には様々な種類があります。ここでは主に樹形をもとに分類してみます。
ヤマモミジやアオダモなど最近好まれる雑木系の樹種が多い。人の通行の妨げになる枝がないため狭い場所でも植えやすい利点がある。比較的背が高いため、あまり剪定等を行なう必要のないモノが良い
ハナミズキやエゴなどよく目にするタイプの樹形です。
キンモクセイやレモンなどによく見られる樹形です、常緑樹の場合遮蔽に向いています。
ゴールドクレストやレイランディなど針葉樹に多いタイプの樹形です。列植や生垣風に使います。遮蔽性があります。
サツキやヒラドツツジ、アセビなど低い位置で暮らす樹木です
この他にも、地面を這うような 這性の樹形、枝垂れ柳や桜で有名な枝が枝垂れるタイプのもの。イギリスナラのように垂直に枝が伸びるものなど様々な樹形があります。こうした将来を含めた樹形や機能性から庭木を選びます。
ひっそりとした冬姿
ギョリュウバイ
一本の樹木でも、一年を通じて大きく姿を変えます。一方、松やマキ、サツキなど常緑樹はあまり姿が変わりません。やはり、花が咲く樹木は花がある時期に見るとどれも美しく見えます。
春に樹木を選んだ方は、春に花が咲いている樹木を選ばれる傾向があります。気に入った樹木を植えられるのは良いことですが、私たちは一般に「冬姿」を基本に植栽を選定します。冬場、落葉樹は葉を落とし、草花もひっそりしています。華やかなものがなく、庭はモノトーンの世界に変わります。このような季節でも美しいと感じる庭は、夏、秋にも美しく、春には最高潮の美しさを発揮します。
では、冬姿でも美しい庭の植栽には、どのようなポイントが考えられるでしょうか。
例えば、落葉樹の大きなアオダモがあれば、幹の近くに、冬に花咲くギョリュウバイやクリスマスローズがあるのもいいでしょう。また、クロハトベラなど葉の美しい植物、銀葉のシロタエギクなどもあれば、寂しい風景に色を添えます。
大きな落葉樹の傍には、小さな常緑樹、大きな常緑樹の近くには小さな落葉樹。そして、冬 葉の美しい下草を組み合わせることでグッと冬姿が美しくなります。
違う樹種を選んでも、同じ2Mの高さの木が並んでいると、造形的に平凡に見えます。人工的に見えるともいえます。樹木に高低差があることによって、立体感が増し、造形的にも面白くなります。樹木を選ぶとき、その相互の関係性を考え、高低差を付けることもポイントのひとつになります。
一方、逆に言えば、同じ高さの木を並べることで、人工的なモダンな演出にもなります。
植物を植えるとき、特に植物の特性を考慮する必要があります。植物には大まかに日向が好きな種類、半日陰が好きな種類、日陰でも大丈夫な種類があります。
一般には、針葉樹やミカン・レモンなど実が付くもの、花が咲くものは日向が良いと言われますが、種類により一概にはいえません。庭木図鑑などを参照に植栽リストに書き加えると良いでしょう。
現在の住宅の敷地は、綺麗な四角形に造成されている場合が多いです。また、その敷地に対して、四角の家が建つ。結果的に庭は細長い長方形になります。(参照:図右側)
敷地に対して45度変化していれば、各角に三角地が出来ます。三角地は遠近感が良くでて奥行きがでるため、庭を作る敷地としては
面白い視覚効果がでます。案外、変形の方が庭には適しています。(参照:図左側)
では、なぜ、長方形では難しいのでしょうか?自然の世界には実は直線がありません。直線とは人間の頭にある空想の線ですが、現代の生活の中には、その空想で描かれた線が現実のものとして存在します。(図:左側)のように、直線を直線で区切ると3つの線が平行に走り、まるで道路区分のような空間がうまれます。自然な落ち着きのある空間としては、角のない柔らかさが不足してます。そこで下(図:右側)のようにやや曲線で区切って、空間を柔らかくします。
実際に、樹木をレイアウトしてみます。(図:左側)はオーソドックスなレイアウトですが、家側に楕円の平面が生まれ、ひろく庭を活用できます。ややアレンジして、家側に木を一本入れてみたのが(図:右側)です。庭は使いにくくなりますが、家側に樹木があるため、より遠近感がでます。左から右へと園路を描き込むことも容易です。
さらに、ここに高低差を加え、庭奥側を高くすると、より遠近感のある立体感のある世界が生まれます。また、樹木は、昔から「高植え」が良いとされ、盛土の上に植えることが推奨されています。これは、排水性が良い土地を樹木が好み、生育に良いことを表しています。
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投稿日:2016/10/29