最近、自然な雰囲気がする駐車場をご希望される方が増えてきました。
都市部の戸建の敷地では、従来の庭と呼べるような場所を充分確保することが難しい傾向にあります。その代替として「せめて駐車場でも自然な雰囲気に出来ないものか?」とお考えのように感じます。確かに、駐車場は、家の「顔」にあたる家前に作られ、一番良い場所を占拠しています。ご近所から見ても目立ち、工夫する甲斐がある場所ともいえると思います。コンクリートだけが敷かれた土間では、無機質で味気なく感じられることも多いでしょう。
しかし、どのような駐車場が「ナチュラル(自然)」と感じられるのかは、難しい問題でもあります。個々の方々の感性にも左右されると言えますが、ここでは、「駐車場のカタチ」と「駐車場の素材」の側面からアプローチしてみましょう。
その前に、「自然でない」コンクリート土間の利点を確認しておきます。
①比較的値段が安い
②汚れにくくメンテナンスが楽
③強度があり、経年劣化が少ない
④品質が安定している
⑤無個性だが「近代的素材」
味気ないコンクリート土間ではありますが、こうして利点を列挙しますと、「悪者」でもないと言えます。こうした利点が多いことが、皆さん悩まれる狂おしい問題を引き起こしているとも言えます。
自然の世界には、直線というものは殆ど存在していないと言えます。しかし、私たちの世界は、「直線」で溢れています。実際、家を建築するにも、この「直線」がないと一苦労します。直線は、人間が考え出した抽象であり、人工物とも言えます。換言するなら、「より人間的なもの」とも言えるでしょう。(原義のart=人工・技術、その対義語がnature(自然)に相当します)
平面で駐車場を見るとき、不便のない範囲でこの直線を消してみることは面白い試みに思います。
直線的な駐車場
曲線的な駐車場
同様に 通常、駐車場はほぼフラットに作られます。しかし、この平坦さも実際自然の中では、ほぼ存在しません。安全性に問題のない範囲で、凸凹していても面白いのではないでしょうか?
(駐車場の勾配については、狭い敷地での駐車場(カーポート)作りを参照下さい)
一方、施工面では、一定しない曲線や歪みなどは、作る人の感性に左右される部分が大きく、図面化することはほぼ不可能です。(大まかにはできますが)。建築関係では「庭師」的世界に属するため、そういう感性のある人にお任せしないと、出来上がったものが、依頼したイメージと(プラスマイナスは別として)大きく異なる可能性があります。
「有機」「無機」を問わず自然物および自然に感じる人工物で駐車場を構成するアプローチもあります。
具体的には、枕木、自然石、植物(芝生など)、レンガ、砂利、土などでしょうか?(厳密に言えば、コンクリートもガラスも自然物から出来ていますが、現代の私達には「近代的」なイメージが先行し、これらは入らないと思います。 )
最近は、マサ土風に見える土間材料なども登場し、柔らかなテイストを持つ素材も出ています。
自然物の利用は、見た目もよく可愛い演出が可能ですが、反対にデメリットを理解しましょう。
①品質が一定しない。また、大きさが一定しないため、施工者によって同じ素材でも出来上がりが大きく異なる
②腐る、枯れる、割れるなど予期しないことも起こる
③植物などはメンテナンスが必要
④車の重みで凹む可能性もある
⑤コンクリート土間より費用が嵩む場合がある(芝生、砂利などは安価にある場合が多い)
では、先ほどの図を使ってより自然な駐車場やアプローチを平面で作ってみましょう。
大まかな図面ですが、右側駐車場は、常に自動車が駐車していると仮定し、左側駐車場は、来客用とした場合の案です。
常時駐車している場合、芝生などは生育が難しいため、コンクリートモルタルとゴブル(石)の組み合わせ。来客用の場合、簡単に芝生と枕木の組み合わせで設計しています。
折衷案といえます。もちろん、全部をナチュラルに設計する場合もありますが、現実的にはこのような折衷案が多いといえます。ご参考になれば幸いです。
駐車場は、家の「顔」にあたる家前に作られ、一番良い場所を占拠しています。だからこそ、工夫する甲斐がある場所ともいえると思います。ここでは、「駐車場のカタチ」と「駐車場の素材」に焦点を当てて、「ナチュラル(自然)な雰囲気の駐車場」の作り方を考えてみました。
もちろん、駐車場はデザイン性だけではなく、機能性も求められます。両者を融合しながら工夫することで、より自然で快適な駐車場(カーポート)が実現すると思います。両者を融合しながら工夫することで、より自然で快適な駐車場(カーポート)が実現すると思います。駐車場に必要な広さや高さなどのコラムを合わせてお読みいただければ、幸いです。
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投稿日:2018/02/02