概要
このコラムでは、ウッドデッキができるまでの様子を、実際の工事記録を見ながら、ご紹介させていただきます。
お庭にウッドデッキを置きたいというご要望を多く頂きます「庭は手付かずであってもウッドデッキは欲しい」というところでしょうか?確かにウッドデッキがあれば様々な長所と活用方法があります。
1)屋外で食事ができる楽しさ
2)子供のプールなども出してあげれ、部屋から様子をみれる
3)庭に出易くなる
4)布団などを干せる
5)ウッドデッキ下部が草が生えにくい
特に5番目は隠れた理由とも言えます。共働き世帯の増加とともに、「庭の手入れ時間」を短縮されたい方が増えています。庭面積を小さくする庭ツールともいえるでしょう。
お客様のご要望はウッドデッキを増設すると共に、デッキに屋根が欲しいという内容でした。
よく伸びたヤマボウシの奥に大きな屋根付きのウッドデッキがあります。これは家の建築時に作られたものです。続きの手前掃き出し窓の部分はやや狭くなっており、屋根もありません。この部分を拡張し屋根を付けたいというご意見です。
樹木の移植から始まります。樹木の取り扱いは生き物ですので基本的な植木の知識と技術がいる仕事です。弊社は、造園会社として出発しておりますので樹木の取り扱いもお任せいただけます。
束石を並べます。束「石」となっていますが、今はコンクリート製品です。束石の間隔は、デッキ材の板厚や材質、下地木材の大きさなどで変わります。
屋根を支える柱を建てます。奥にある屋根は家の建築時に作られた屋根ですが、今回は増築のため家とは「独立」した屋根を作ります。
デッキの一部をブロックで囲っていきます。これは今回特別にデッキ内に樹木を植えるスペースを作るための作業です。
屋根の下地に板を張っていきます。この部分は見える部分ですから「化粧張」と言われます。薄く白いペンキで着色しています。
屋根はルーフィング材と言われる防水材を貼り、今回はアスファルトシングルで仕上げています。屋根材は、様々なものがありますが、太陽光の欲しい場合は、ポリカ板、ポリカ波板、カルバニウム鋼材など用途と費用によって選んでいきます。
ようやく全体が見えてきました。束を並べています。束はデッキを支える柱であると同時に、デッキを平行に保つ大切なものです。デッキがガタガタしないため「ミリ」単位で揃えていきます。
さらにデッキ横にシンクと立水栓を作りはじめました。デッキ上から使うシンクとデッキ下で庭に水遣りするための立水栓です。デッキ上から使うシンクですから地面からはかなりの高さになります。
デッキ内の植栽枡も大分できてきました。デッキ下に植える場合もありますが、こうして植栽枡をきちっと作ることで、デッキから樹木だけでなく草花なども見えることになります。デッキの仕上がり高を計算してブロックを積みます。
デッキ側のシンクの下地が出来上がってきました。シンク下部は収納になります。
植栽枡もブロックの目地を隠すため、軽量モルタルで下塗りをします。ささやかな作業ですが、仕上がりの質感を変えます。また、デッキ部分は、防草シート敷、バラスを入れ、デッキ周囲も見切り(区切り)を入れます。これでデッキ下から草が生えてくることを防ぎます。一旦デッキが完成すると、草抜きは大変ですよね。
デッキ材を張っていきます。ようやく完成のイメージが出来てきました。
シンク背面の立水栓です。シンクが大きいので デザイン的に間延びしますので、石版を入れて棚を作っています。今回は、すぐ横に既成の立水栓があったため比較的楽に配管できました。完成前にこの立水栓は撤去いたします。
シンク天板にも石材を配置し、下地塗りがほぼ終わった状態です。下地を丁寧に塗ることでブロックの面影がなくなります。
植栽枡にヤマボウシを戻しています。周囲に石版を貼る用意をしています。
樹木が入ることで、デッキと庭が繋がったようなデザインになります。また、部屋の中から草花も見て頂けます。
今回は無機的なモルタル仕上げでシンク背面が完成です。ご自宅にあった石を組み合わせてステップも制作。
屋根にトユを付け、幕板で隠します。
シンク下部に小さなウッドドアを作り取り付けました。隣は棚板です。
立水栓前に小さなポーチ。
まとめ
ウッドデッキはただ四角く作るのもいいですが、今回のように色々なものを組み合わせて作ることで、より便利でより個性的なものになります。冒頭で「ウッドデッキの長所と活用法」でウッドデッキの幅広い活用法にふれましたが、ウッドデッキを家と庭(ウチとソト)の要素の混在した「第三の空間」と考えれば、その活用法はさらに拡がるのではないでしょうか。お客様の「○○○したい」をお聞かせください。それを実際のカタチにすることこそ、私たちの役割であると考えています。
投稿日:2019/11/06