植物や野菜を植えると必ず必要なのが「水遣り」。
それ以外にもソトで水を使うことは案外多いものです。
自動車の洗車、玄関周りの掃除、レジャー用品の水洗い・・・・実際、どの家にも一つは外部用水栓が大抵ありますが、家を建築中の方は、気軽に「外にひとつ水道栓があればいい」といった軽いお気持ちで考えている方が少なくありません。
本コラムでは、庭の使い方や暮らし方、それらに応じた様々な水栓やシンクをご紹介していきます。
最もよくある水栓は、「埋設栓」と呼ばれる地中に埋めた形になった蛇口です。
黒いプラスチックの枠に、水栓が入っているタイプです。コンパクトに収まったこれらの水栓も悪くないのですが、実際の毎日の暮らしの中では、いくつかの不便を感じられている方は多いと思います。主な理由は以下のようなものです。
①毎回地面に屈まないといけない
②ホースの仕舞いが悪い
③手が痛い
特に、ご年配の方の場合、①の毎日屈むことが苦痛になるとお聞きしますし、開口部が狭く、枠に手が当たり痛いというお話もよくお聞きします。
埋設栓の良いところは、地面とフラットに作れ、スペースも要らない、デザイン的にも目立たないなどのメリットがありますが、一方で、毎日使うには不向きだとも言えます。
庭には水栓が必要なことは自明ですが、日本の庭で水栓を見たことがあるでしょうか?日本の庭の「水場」といえば、池・滝組・手水・蹲(つくばい)などで水栓はあまり思い浮かびません。
以前にも書きましたが非日常性を大切にする日本の庭では、「水栓デザイン」というものは積極的に行われて来なかったと言えます。どちらかと言えば、「如何に水栓を隠して配置するか」という文化が強い傾向にあったと言えます。
そのため、埋設栓やプラスチックの立水栓など、機能的ではありますが、「庭」のデザインに向いた水栓というものは最近になるまであまり目にすることがありませんでした。
野菜や植物の水遣りは、暑い季節は毎日行う必要があります。水遣りが苦痛になると、どうしても億劫になるのが人の性(さが)というものでしょう。
そのためには、「使いやすい」「便利」ということは必須です。
では、使い易い水栓はどのようなものでしょう?
①蛇口がひねりやすい
②ホースを毎回つけなくていい
以上を誰もがお考えになると思います。
さらに、「お洒落」「カッコイイ」「個性的」「デザインが良い」などが付け加えればさらに良いでしょう。私たちもお客様のご要望をもとにこうした水栓を幾つか考えてきましたのでご紹介いたします。
庭のデザインで使った石で作った立水栓です。既成の買ってきた水栓では、新しい素材が入り、庭全体のデザインを乱す場合あります。庭で使っている素材で、立水栓をつくれば、庭全体のトータルデザインを可能にします。
このように庭の雰囲気を活かしながら、立水栓を設置することで、庭の「邪魔者」であった水栓も庭の一員になれると思います。
立水栓には同系色のモザイクタイルを貼っています。
お客様のご要望で作らせて頂いたステンレスボールシンクです。狭い場所だからこそ、こだわりのデザインが引き立ちます。
大きな庭なら目立たないシンクも、小さな場所なら庭のアイコンとなります。
ただ、シンクや立水栓を作るだけでなく、水を使ったソトでの暮らしを想定した事例です。
玄関わきで、家のソトで使うものを収納しつつ手洗いも出来ます。
大きな屋根に収納棚や作業台とシンクを合わせたものです。庭で料理をつくるために制作しました。
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立水栓も欲しい。ウッドデッキも欲しい。ウッドフェンスも・・・暮らしを支える庭には様々なアイテムが必要ですが、それらを組み合わせて活用する方法があります。ここではそんな一石二鳥のアイデアをまとめました。
様々な事例を観て頂き、立水栓やシンクがただ「水のでる場所」でなく、「水から広がる暮らしのイメージを実現する場所」であることを知って頂けたことと思います。
使い易さ、利便性はもちろん、庭のアイポイントとしても、ソトでの暮らしの中心点としても使える、ガーデン・アイテムなのです。あなたの立水栓やシンクのイメージつくりに役立ったでしょうか?
最後のコーナーでは、お客様のご要望を受けながら作らして頂いた完全オリジナルの水栓をご覧ください。小さなスペースをゴージャスに魅せるセレクションです。
室内に作った水草を植える池と立水栓です。お店のアイキャッチです。
今お持ちの古いミシン台を利用したシンクのリニューアルを依頼して頂きました。モルタルでシンプルに仕上げています。
アンティーク雑貨と組み合わせた例です。こちらも、シンプルに仕上げています。
イギリス製のアンティークベビーバスを購入され、それを利用した立水栓制作のご依頼頂きました。遊び心でお持ちの蛇口を使った二口蛇口。ベビーバスの高さや大きさに合わせて、ウッドの古材に合わせて、配管を制作させて頂きました。
水栓は実用のものでありながら、ガーデンアイテムとして様々なシーンを連想させるアイコンでもあります。
あなたの庭の使い方、暮らし方、それに合わせてどのような水栓があれば、便利でお洒落か考えてみてはいかがでしょうか?
投稿日:2017/09/08