施工:2020年05月

庭と菜園の両立で植物のもつ様々なチカラを最大限に活かす

庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)

概要

著名な料理研究家の田中愛子様のご自宅のお庭をリフォームさせていただきました。五年前に庭の一角にキッチンガーデンとして庭の調理場とウッドフェンスを作らせて頂いたご縁で、今回、お庭全体を作庭させて頂くことになりました。

5年前に作らせて頂いたシンクと屋根のある調理場

庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)


庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)
庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)


事例の詳細はこちらをご覧ください


田中先生は、料理研究家として「食卓の上のフィロソフィー」を提唱されています。

食卓の上のフィロソフィ 10ヶ条
1,毎日心を込めてお料理をしよう。
2,季節の恵み、土の恵み、海の恵みに感謝しよう。
3,人と語り合い、笑い合える食卓は、人生の宝物。もっと楽しみましょう。
4,食卓は身近な美術館。食卓にある器や道具の美しさを知ろう。
5,受け継がれてきた伝統のレシピ、今日生まれてくる新しいレシピは、知恵と愛情が詰まっています。
6,食卓に並ぶ食材は、世界の歴史と文化の展示場。
7,食卓できちんと美しく食べる習慣を大切にしよう。
8,今、世界中で8億人の人々が飢えに苦しんでいます。その真実をもっと知ろう。
9,未来に紡ぐ「すこやかな食と暮らし」のために、毎日の「食卓」から革命を起こそう。
10、幼い頃から「すこやかな美味しい食卓」を体験することは、人格を育て、持続可能な未来を築く原動力です


詳細は田中先生のHPをご覧ください

これらは、一見「庭」と無関係に見えますが、こうした豊かな食卓を実現するために、「From Farm To Our Table」という概念も提唱されています。「Farm To Table」は、主にアメリカで始まった社会運動で、安全で安心な地元野菜をレストランや販売店で食べようということ指しています。農薬や化学肥料を使わずに、環境に優しく、食品の鮮度が高く、また、季節性のある食品を手に入れ、小さな農家を守ろうという社会運動とも云えます。

ご要望

田中氏からのご要望は、以下のものでした。

①ファームは無理でも家庭菜園を通じて、食卓に繋がる「庭」を考えてほしい。
②実際に庭で出来た野菜やハーブを料理教室で使いたい
③生徒さんを通じて、植物を育てるこことから料理方法までを一貫して表現したい
④身体の負担の少ない「菜園」を構想してほしい
⑤メンテナンス性の良い庭を作りたい
⑥庭の美しさ、使いやすさも考慮してほしい。

庭と菜園の両立という難しいテーマをいただきました。

「Farm」から「菜園」へ

庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)

庭と菜園の両立というものは、一つのアイデアで一つの施工で「実現」出来ないと考え、3年間の試作期間頂き、まず、その原型として作りました。


庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)
庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)

土面を上げて、負担が軽減するように作りました。また、一つ一つのBOXを小さくしてアクセスが良いこと。大量生産ではなく、多品種少量生産を目指しました。


庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)

菜園を中心に据え、ハーブ園は既存の石を使いながら周辺に配置しました。


庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)

菜園は、「農業」が基盤となる価値のため数字を入れ、誰にでも場所がわかるものにしました。


庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)

実際の料理教室で先生と生徒さんが植え込んでおられます。


庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)

野菜は、三ヶ月サイクルで起こるイベントでもあります。収穫が楽しみです。


庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)

名前を書いて頂く木札も作りました。


庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)

植え込み後の様子です。


庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)

果樹にジューベリー、キーウィなども庭木として植えました。


庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)

料理の生ゴミを堆肥にするためのコンポスト。


庭と料理を紡ぐ菜園(家庭菜園)

菜園の後は、キッチンに戻り、料理教室が始まります。

施工を終えて

庭は、従来観賞を主目的にして作られてきましたが、「料理」「食卓」の観点によっては、違ったカタチで暮らしにお役に立てるのではと思いました。育てる、観賞する、収穫する、匂う、食べるという植物のもつ様々なチカラをこの「庭」を通じて皆様のお役に立てればと思います。

投稿日:2020/06/25

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